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2013年4月 6日 (土)

パロディーと下品さ

たまには、最近放映されているCMの中で、私的に低評価な作品? を
話題として取り上げてみましょう。

CM等のテーマ音楽・BGMを評価して色々な見地から論評するコーナー、
「一人スレ」はこのブログ立ち上げから、今に至ります。


そこで取り上げるCM音楽の評価は、ほとんどがB~Aです。
テレビに流れるCMの数は膨大なため、私の関心を得なかった凡庸なCMを
話題に取り上げることは意味がないからです。

ですから、腹立たしい、実に不快な思いを持って見ているCMをあえて
低評価する対象として取り上げることもありませんでした。

ここで、今日取り上げるCMなのですが、最近しつこく放映されている
栄養ドリンク「へパリ―ゼ」のCM。


[HD][CM]ゼリア新薬工業-ヘパリーゼWダブル(チャイコフスキー篇)(15sec)
ヘパリーゼ


…一般の視聴者は、どうとらえているのでしょう?

使われている音楽は、チャイコフスキー作曲の「白鳥の湖」の中から、
「4羽の白鳥たちの踊り」です。

それについて言えば、洋の東西を問わず、どういう訳か、バレエ「白鳥の湖」
の中でも、特にその曲の部分はパロディー化されることが、多かったわけです

バレエ曲の中でも、「白鳥の湖」は一般にも良く知られ、バレエと言えば
「白鳥の湖」と短絡できるぐらいにポピュラーだからかもしれません。

「白鳥の湖」のバレーのいでたちで、TV放送開始以来、最も下がかって
下品なのは、ドリフの志村けんの、このコスチュームでしょう。


音楽/CM/NEWS時事論評


参考動画)東村山音頭
http://www.youtube.com/watch?v=uwtn4YMoRMU


しかし、このパフォーマンスには救いがあります。
下品であっても、確かに面白く、コメディアンとしては、観客を笑わすことに
成功しているからです。

上の例は、服装だけしかバレエと関連しないわけですが、海外の例では、
バレエの踊りやパフォーマンスを通して、集客に成功した例があります。

アメリカのニューヨークを拠点とする、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団
という、男性だけで構成されるコメディ・バレエ団があります。

Wikipedia;トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団


Les Ballet Trockadero - Swan Lake parody



一番右端のバレーダンサーが一人だけワンテンポ遅れて振舞っていることで、
観客の関心を買おうとしています。ウケ的には、三段落ちの部類でしょうか。

cf. wikipedia;落ち

それでも、彼ら、踊りは相当上手いです。
本物の舞台芸術に近くなり、芸術性が加味されると、パロディーも
単なる見世物の域を脱するのでしょうか。

男のバレエダンサーが、バレリーナの女装をして踊る、という設定自体、
すでに 不真面目 → コメディー路線 となるのですが、しかし、もし彼らが、
あくまでも真面目に取り組み、精進を重ね、名門バレリーナに匹敵する
舞台芸術作品としてのクォリティーを獲得・達成したら、どうでしょう? 

我々は、それを素直に受け入れるでしょうか?

トロカデロ・バレエ団の、多少わざとらしい脱線がなければ…いえ、多少
あったとしても、少なくとも、観客が見るに堪えないほどの醜態を晒して
いるとは思えません。少なくとも、彼らはこれまでの人生で、ダンスの訓練を
してきたプロである、ぐらいの見当は素人にも付きます。

ここで、本来のバレリーナ集団が踊っている同曲をいくつか見てみます。

チャイコフスキー作曲 「白鳥の湖」より、「4羽の白鳥の踊り」


swan lake, spettacolo 2012 palazzo minoriti, catania




Tchaikovsky - Swan Lake - four little swans (Mariinsky Ballet)



[Arthaus 100713] TCHAIKOVSKY: Swan Lake (Bolshoi Ballet, 1989)




こちらは伴奏がピアノです。

NBS' Spring Showcase, Cygnets from Swan Lake



おそらく、きっと、つま先から血のにじむような過酷な訓練を日々重ね、
彼女らは栄誉ある舞台に立ったのでしょう。
繊細な調和と苦心の末の成果、芸術に共通するものです。


最初に戻って考えると、ヘパリーゼのCM…

素晴らしい? 芸術的である? 美しい? 面白い? 滑稽である?

私には、いずれも当てはまるとは思えません。

チャイコフスキーの上品な旋律を貶める、がさつで野卑なパフォーマンスは、
洗練された作品への冒涜であり、作曲者とは真逆の性質を感じぜずにはいられません。

最大限、好意的に受け止めるとすれば、

本物のバレエや、女装バレエ団と比較考察すると、

滑稽さと芸術美、下品さとパロディーの境界線は曖昧だ、

そんなことを考えさせられるCMです。

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コメント

おはようございます。僕等の世代は、皆・志村けんさんの名曲・東村山音頭の衣装を思い浮かべます。最初は、まともな感じの衣装なのに。後から、下品な感じのあの衣装に、変わってしまう。だけど、面白い。当時は、確か・まだ、幼稚園児くらいでした。因みに、僕の両親は、志村けんさんと同世代の人間なんです。見た目は、変わらないですが。一つだけ、上なんです。

はじめまして。コメントありがとうございます。
しばらくぶりに読み返して、こんなことを書いていたんだな、
と思わせられます。

東村山音頭をテレビで見たのですね。
あのころ若かったた志村けんもおじいさんになりましたし、私たちも歳を取りました。

私がこの記事を書いた時分からも年月が流れました。

曲は4羽の白鳥の踊りですが、実際は4人の人間の踊りです。

人間が表現する以上、その恰好が美しいかどうかはそれを見ている人間の
基準になってしまいます、本物の白鳥はとても美しいのですが。

私からすれば、ガニ股で飛び跳ねる振り付けは、一流のバレリーナたちであっても
滑稽に見えます。

時代が変わり、男女の垣根も曖昧になりました
LGBTの人がバレリーナの中に居ても、気付かれないかもしれません。

それはともかく、今だにヘパリーゼのCMは続いていますね。
私は一度も飲んだことがないのですが。

嫌なCMはどういう訳か長命なのです、たとえばソフトバンクの白犬もそうです。

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